親が亡くなったあと、家の駐車場に残った車をどうするか。葬儀や役所の手続きが一段落したころに、多くのご家族が向き合うことです。
この記事では、亡くなった方の車を受け継ぐ・売る・廃車にするまでの順番を、札幌の窓口と法律・国の案内にそってまとめます。普通車と軽自動車で窓口も書類も違うので、その違いを中心に書きます。
まず車検証の3か所を見る
何から始めるか迷ったら、車検証を手元に出して次の3か所を確認してください。ここで進め方が分かれます。
- 所有者の欄:親の名前か、ディーラー・ローン会社の名前か。ローンの途中などで所有者が販売店・ローン会社になっていて、親は「使用者」だけのことがあります。その場合は、手続きの前に所有者(販売店やローン会社)へ連絡して同意を得るのが先です
- 自動車の種別:普通車(登録自動車)か軽自動車か。窓口が別々です
- 有効期間の満了する日:車検が切れていないか。切れていると、公道を走れないうえ、普通車は相続の名義変更そのものができません(後述)
決める順番:誰が受け継ぐか → 乗る・売る・廃車
車も預金や家と同じ「相続財産」です。まず相続人の間で誰がこの車を受け継ぐかを決め、そのうえで「乗り続ける」「売る」「廃車にする」を選びます。売る場合も廃車の場合も、いったん相続の手続きを通るのが基本です。
相続放棄を考えているなら、売る前にいったん止まる
親に借金があるなどで相続放棄を考えている場合は、車を売ったり廃車にしたりする前に止まってください。民法第921条では、相続人が相続財産の全部または一部を「処分したとき」は、相続を承認したものとみなされます。放棄できなくなるおそれがあるので、先に司法書士・弁護士、または家庭裁判所に相談してから動くのが安全です。
普通車:札幌運輸支局で相続の名義変更
普通車は札幌運輸支局(札幌市東区北28条東1丁目1-1)で「相続による移転登録」をします。登録の受付は平日8:45〜11:45、13:00〜16:00です。大通西10丁目の北海道運輸局(札幌第二合同庁舎)では手続きができないので、間違えないようにしてください。
主な書類は次のとおりです。
- 申請書(第1号様式)と手数料納付書。登録手数料は700円(国土交通省の登録・検査手数料一覧表)
- 車検証(有効期間内のもの)
- 亡くなった方と相続人全員の関係が分かる戸籍謄本等。または法務局の法定相続情報証明書
- 遺産分割協議書(相続人全員の実印)・遺言書などのいずれか
- 新しい所有者の印鑑証明書(発行後3か月以内)と実印。代理人に頼むなら実印を押した委任状
- 車庫証明(車を置く場所が変わる場合)
車の査定額が100万円以下のときは、遺産分割協議書の代わりに国の様式「遺産分割協議成立申立書」に査定の書類を添える簡単な方法もあります。相続人の間で協議が成立していることが前提で、他の相続人の実印をそろえる手間が省ける仕組みです。使えるかどうか・添付する書類は、車検証を手元に置いて札幌運輸支局(050-5540-2001、音声案内のあと「037」)に聞くと確実です。
相続による移転登録の全体の案内は北海道運輸局「相続による移転登録」にあります。運輸支局は月末・週末と、3月中旬から6月下旬が混み合います。
軽自動車:軽自動車検査協会 札幌主管事務所
軽自動車は軽自動車検査協会 札幌主管事務所(札幌市北区新川5条20丁目1-21)での手続きで、普通車より書類がぐっと少なくなります。受付は平日8:45〜11:45、13:00〜16:00、問い合わせはコールセンター050-3816-1763です。
- 車検証の原本
- 亡くなった事実と、新しい所有者が相続人であることが分かる戸籍謄本等、または法定相続情報一覧図(コピー可)。死亡診断書は原則使えません
- 新しい使用者の住民票の写し(マイナンバーの記載がないもの)または印鑑証明書(発行後3か月以内)
- 申請書(軽第1号様式)。管轄が変わるときはナンバープレートも
手数料は無料です。遺産分割協議書や実印は、軽自動車検査協会の案内では求められていません。窓口の場所や当日の流れは次の記事にまとめています。
売るときは「相続」と「売り先への名義変更」を一度に
亡くなった方の名義のまま、売り先へ直接名義を移すことはできません。ただ、相続人の名義に移す手続きと、売り先への名義変更は、同じ窓口にまとめて出せます。普通車なら、相続の書類に加えて相続人の実印を押した譲渡証明書と印鑑証明書をそろえれば、1回の手続きで済みます。
窓口に行くのは相続人本人でなくてもかまいません。普通車は実印を押した委任状、軽自動車は「申請依頼書」があれば、買取店などが代わりに申請できます。出張買取サポート札幌では、書類の案内から手続きの代行まで無料で行っていますので、「何を集めればいいか」の段階からご相談ください。
車検・自賠責が切れていたら
長く乗っていなかった車は、車検や自賠責保険が切れていることがよくあります。その場合は次の点に注意してください。
- 公道は走れません。有効な車検証と自賠責の両方が必要です(道路運送車両法第58条・自動車損害賠償保障法第5条)
- 仮ナンバー(区役所で1件750円)は車検を受けに行くためなどのもので、有効な自賠責保険証明書の原本がないと借りられません
- 普通車は、車検が切れていると相続の移転登録ができません。売るなら「車検を通してから」「一時抹消(相続と同時に申請できます)」「解体して永久抹消」のどれかになります
- 軽自動車は、車検が切れている間は、名義の変更を「その車を使おうとする時」まで待つことが法律で認められています(道路運送車両法第67条ただし書き)
自走できない車は、積載車で運ぶか、出張で引き取ってもらうことになります。出張買取サポート札幌は出張費0円・引取り費0円・手続き代行0円なので、動かせない車もそのままご相談ください。
お金のこと:自動車税・軽自動車税・売ったお金
亡くなった年度の税金は相続人が払う
亡くなった方に課される税金は、相続人が引き継いで納めます(地方税法第9条。相続人が複数なら相続分に応じて)。
- 自動車税(普通車):4月1日に登録されている所有者に1年分がかかります。年度の途中で名義を移しても減額はありませんが、抹消登録(廃車)をすると翌月から月割りで減額(還付)されます
- 軽自動車税:月割りの制度がありません。4月2日以降に手放しても、その年度分は全額かかります。手放すと決めたら、次の4月1日より前に手続きを終えるのが目安です
普通車の名義変更がすぐにできないときは、札幌道税事務所 自動車税部(011-746-1190・札幌市北区北22条西2丁目)に相談できます(北海道の自動車税Q&A)。
売ったお金に所得税は原則かからない
家族が普段使っていた車であれば、売った代金に所得税は原則かかりません。国税庁は、通勤用の自動車など「生活に通常必要な動産」の譲渡による所得を非課税としています。一方で、相続税の申告が必要なご家庭では車も財産に数えるので、評価のしかたは税理士に確認してください。
「15日以内」の期限はどう考えるか
法律では、持ち主が変わってから15日以内に名義の手続きをすることになっています(普通車は道路運送車両法第13条、軽自動車は第67条)。ただ、相続では戸籍を集めるだけで日数がかかるのが普通で、15日で終わらないご家庭がほとんどです。
大切なのは、故人の名義のまま何年も置かないことです。売るときも廃車のときも同じ書類が要るうえ、時間がたつほど相続人が増えたり書類集めが大変になったりします。毎年の自動車税の通知も届き続けます。
よくある質問
Q. 親の車を、名義変更しないで売れますか?
故人の名義のまま売り先へ直接移すことはできません。ただ、相続人の名義に移す手続きと売り先への名義変更は、同じ窓口にまとめて出せます。書類がそろえば、手続きは買取店が代わりに行えます。
Q. 名義変更はいつまでにしないといけませんか?
法律上は持ち主が変わってから15日以内です。とはいえ戸籍集めで超えてしまうのが普通なので、あわてず、ただし何年も放置しないことが大切です。普通車の税金のことは札幌道税事務所 自動車税部(011-746-1190)に相談できます。
Q. 車検が切れたままの車はどうすればいいですか?
公道は走れないので、積載車で運ぶか出張で引き取ってもらいます。普通車は車検が切れていると相続の名義変更ができないため、売るなら一時抹消や永久抹消とセットで進めます。
Q. 亡くなった親の自動車税は誰が払いますか?
相続人が払います。自動車税(普通車)は4月1日の所有者に1年分かかり、廃車にすれば翌月から月割りで戻ります。軽自動車税には月割りがありません。
Q. 車を売ったお金に税金はかかりますか?
家族が普段使っていた車なら、売った代金に所得税は原則かかりません。相続税の申告が必要なご家庭は、車も財産に入るので税理士に確認してください。
※ お出かけ・お手続きの前にご確認ください
掲載している内容は執筆時点の情報です。営業時間・料金・定休日・開催日程・制度などは変更されることがあります。
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